こんにちは、北大コーチ松浦です。
先日の受験対策クラスで、学力ABCテスト、そして高校受験に向けてのガイダンスを行いました。
その中で紹介したのが、3月の公立入試で北高に合格した2人の話し。それぞれ性格も違えば得意・不得意教科も違うので、北高に合格するまでの道筋は全く異なります。これからの受験勉強の参考になると思いますので、シェアさせてもらいます。
【ケース1】数学・英語が得意なYさんのケース
Yさんは常に満点〜50点台後半が取れるくらい、英語が得意な生徒でした。次いで数学が得意で、50点台はキープしていたように記憶しています。
彼女はどのようにして北高に受かったのでしょうか。
10月までに中3の数学が完成
彼女は抜群の英語力を持っていたので、その分、数学に勉強時間を回すことができました。
そして10月中には中3内容の数学を完成し、他の人よりも早く裁量問題対策を行う準備が整いました。
11月から裁量問題対策に突入
学力ABCテストの得点は、夏休みで受験に耐えうる基礎力は固まっていたので、安定して北高合格ラインをクリアしていました。
さらに中3の数学が終わったため入念に裁量対策に取り組めていたので、裁量問題が入る11月の道コンでも変わらず得点できていました。
1月の道コンで自己ベストを更新!
そのまま順調に受験勉強を重ね、1月早々には「全国47都道府県の過去問」もすべて終わらせました。裁量対策の量も、復習の量も段違いで多かったと思います。
そして1月道コンでは、自己ベストの270点台という結果を残したのです(上位で表彰されました)。
そのままの勢いで受験を迎え、さすがに本番のプレッシャーを前に最高点は出せなかったものの、見事、北高に合格できました。
【ケース2】数学で苦労したMさんのケース
Mさんも定期テストで常に450点前後を取る実力の持ち主でしたが、Yさんよりも数学に苦手意識を持っていました。特に受験ともなると範囲も広く、裁量問題で一気に難易度が高くなるので、いつも受験勉強は数学との戦いでした。
努力の末に北高に合格したMさんのケースを追ってみましょう。
9〜11月は定期対策とABC対策に集中
定期テストの勉強と平行してのABC対策は、時間との戦いです。学力ABCテストで結果を残そうと思っても、そちらに勉強時間が偏ると、定期テストの対策にしわ寄せがきます。
彼女は予習を定期テストの範囲までに留め、目の前の定期テストと学力テストの勉強に集中しました。
11月道コンで裁量問題に苦戦…
定期テストが終わってからは、中3の先取りを最優先で進めました。しかし11月の道コンに間に合わせるには、時間が足りませんでした。
Cテストでは50点前後まで取れていた数学が、40点前後と振るわなかったのです。
じわじわと伸びて北高に合格!
それでも彼女は負けん気の強さを見せて、12月早々には中3内容の数学を完成させ、本格的な裁量問題対策に取り組み始めました。
一気には得点は伸びませんが、それでもじわじわと結果があらわれ、1月の道コンでは北高の合格ラインを越すようになりました。
結果、見事に北高合格を果たすのですが、「合格するぞ!」という強い気持ちと確かな努力が実を結んだ結果だと思っています。
2人のケースから学ぶこと
本格的な裁量問題対策は、中3内容が完成してから取り組む
中3の秋の時期になると「裁量問題の対策をしないと!」とあせる人が出てきます。しかし本当に裁量問題が最優先で勉強すべきことでしょうか?
私は生徒に常々伝えているのですが、最優先すべきは【定期テスト対策】です。10月末〜11月中旬に実施される定期テストで入試における内申点(ランク)がほぼ決まるため、非常に重要な位置づけになります。
そしてもう一つ、この時期に裁量問題対策を行うのには限界があるということです。裁量問題が難しいのは、学年をまたいで総合的な数学力が必要になる「融合問題」として出題されるからです。
その性質から、たとえば関数であれば[中1:比例・反比例→中2:1次関数→中3:2次関数]、図形であれば[中1:平面図形・空間図形→中2:合同→中3:相似・三平方の定理]といったように、中学3年間の勉強をすべて完成させ知識を縦積みでつなげないと、対策が不十分になってしまうのです。
体裁だけ整えて「裁量問題対策をしている」と満足してもあまり意味はなく、中3の勉強を先取りし、誰よりも早く完成させてから裁量問題対策を行った方が効果的です。もし中3の先取りがうまく出来ないのなら、裁量問題自体にこだわらずに、やるべき勉強を見つめ直した方が良いと思います。
裁量問題よりも、手堅く解けるようになるのが優先
11月下旬の道コンから出題が[標準/裁量]と2種類に分かれ、平均点が20点近く下がります。この[標準/裁量]の点数の差は、公立高校入試の本番でも同様に生まれます。特に点数が下がるのが数学で、計算問題など得点を稼げる問題が応用問題に置きかわることが原因です。
ここで知っておいてほしいのが、東西南北といった最上位校であっても、合格者の平均点は40点台だということです。60点満点の内、裁量問題の出題は20点前後です。つまり裁量問題が解けなかったとしても、合格点に達することは十分に可能だといえます。
例年受験生を見ておりますと、伸び悩む生徒に多い2つの特徴があります。
(1)受験に通用する基礎力が足りない
具体的には「難しい問題ばかり解きたがり、復習をしない人」です。
受験勉強は、3年間にもおよぶ広い範囲を網羅しなければなりません。だから夏休みにいくら頑張って勉強しても、そこから復習をおろそかにすると忘却の一途をたどり、伸び悩み始めるのです。
8月の道コンで50点を切っている教科については、2周・3周と夏休みの勉強を復習することを欠かさないでください。
(2)目標点を考えて勉強していない
具体的には「難しい問題を解くことが目的になっている人」です。
前述の通り裁量問題対策とは、合格平均点が高くても40点台の試験で、40点後半〜50点台を取るための対策です。つまり目標点が先にあり、それを超えるために裁量問題対策という手段を選ぶのが正しいといえます。そのため中堅進学校を志望している場合、裁量問題の優先度は低いです。難しい問題を解くこと自体が目的になっても、あまり意味がないのです。
逆に考えると「基礎力を充実させ、目標点を超えるために工夫して勉強している人が伸びている、志望校に合格している」ということがいえます。この2つの特徴に当てはまらないように気をつけましょう。
自分に合った学習ペースを信じて貫き通す
上記のことが理解できたとしても、現実としては「裁量問題対策、始めたよ!」と周りの友だちから聞くと、焦る気持ちが生まれる時もありますよね。でもそこで比べてはいけません。むしろ「自分は自分、他人は他人」と、自分がやると決めた勉強をやり抜きましょう。
今でも思い出すのですが、裁量問題が入り思うように数学で点が取れなかったMさんは、涙を流して悔しがっていました。それだけ1つ1つのテストにかける想いが強かったということです。だから勉強の軸は決してぶれなかったですし、どうやったら合格できるのか必死に考えながら取り組んでいました。
まだ高校入試は、大学入試に比べて専門性が高い勉強ではありません。本気で「やり抜こう!」と自分の意志を貫き通せば、誰にでもチャンスがあると私は信じています。
あくまでも2人の例ですが、きっと学べる点があるはずです。
一人ひとり、自分のベストを尽くして受験に向かって頑張りましょう!